天国から来た悪魔
第十話 決戦! 隆vsミア!


「お……お姉ちゃんが……あんなに怒ってる……」
 扉の前で隆を睨みつけているミアの姿を見て、ミルは再び漏らしてしまった。
──……はあぁぁ……またしちゃった……
 小さい時からミアに、お仕置きをされていたミルは、ミアの怒った顔を見ただけで条件反射のようにお漏らしをしてしまう。よほど怖い思いをしてきたのだろう。
 そんなミルの姿に気付いた隆が、不思議そうに声をかけてきた。
「お前、何やってるんだ……あ〜あっ」
 ミアが睨んでいる事など完全に無視して、ミルに視線を写してみると、とんでもないことになっていた。
「……あっ……ごめんなさい……だって……だって……」
 視線が合った途端、恥ずかしさと涙が一気に溢れてきた。
 何度も手の甲で涙を拭ってみるが、涙は後から後から溢れてくる。もう自分でもどうしたらいいのか解らなくなったきた……
「ミル! シャンとしなさい!」
「ひっ……」
 容赦のない一喝が飛んだ。ミルはビクッと一度反応すると動かなくなってしまった。
 一生懸命止めようとするのだが、瞳からはポロポロと涙がこぼれ落ちている。そんなミルに隆はゆっくりと近寄り、頭を撫でるとソッと抱きしめたのだった。思いもよらない隆の行為にミルも一瞬驚いたが、その優しさにゆっくりと表情が崩れていき声を上げて泣き出したのだった。
 1分ほどそのままにしておいただろうか、ミルの鳴き声が少し治まったところで、隆は抱えるようにしてミルを立たせるとミアへと視線を移した。
「勝手に俺様の下僕を脅すようなことをして貰っては困る……そう言ういけない子は、俺様がきちんと教育してやらないといかんな」
 ミアを挑発するような不敵な笑みを浮かべ、ミルをバスルームへと促してからベットルームへと向かう……その間、ミアは一言も言葉を発しなかった。隆の不可解な行動に戸惑っているのもあったが、ミルが声を上げて泣き出したのが意外だったのだ。今まで、涙を流したことは何度もあったが、声を上げて泣いたことは一度もなかった。しかし、そんなミルに同情して怒りを忘れたわけではない。このようなことで流されるようなミアであるはずがなかった。
「ミル、着替えたら直ぐに戻ってきなさい。この人間の堕落する姿をたっぷりと見せてあげる。そうすれば、いかに人間とは愚かな生き物か解るはずです! 良いですか、直ぐに来るのですよ」
 ミルは涙顔をミアに向けながら小さく頷くと逃げるようにバスルームへと向かった。
「ほぉ〜……お前はそう言う趣味があったのか、実の妹に自分がもだえる姿を見せようとはね」
「フンッ……戯言を言っている。貴様が私に勝てるとでも思っているのか、例え《インキュバス》の勝負であろうと私は負けるはずないではないか……良いか人間! あの子が戻ってきたら貴様の性など全て吸い取ってやる」
 強気な発言を残し、ミアはベットルームの扉を潜った。しかし、隆はミアの僅かな変化を敏感に感じ取り細く微笑んだのだった。
 真っ直ぐベットへ向かい腰を下ろすと、ミアは《インキュバス》の授業を思い出していた。10年生のプログラムもルシフェルの記録に届こうかと言うスピードでこなしていたミアだったのだが、どうしてもクリアできないプログラムがあり歴代二位タイの記録でフィニッシュすることとなった(ちなみに、一位と二位の差はかなりある)。そのプログラムというのが《インキュバス》の授業だった。だからといって、赤点を取る程悪いというわけでもなく、一般生徒より少し悪いという程度だったのだが、プライドの高いミアは今も先生に頼み補習を受けているのだった。
──何を緊張しているのだ……この前の授業を思い出せば何のことはないではないか……相手は人間、所詮この間と変わらない……
 ミアは瞼を閉じるとこの間の補習授業を思い出す。ミアの希望により人間界での実地授業を行った時のことを……
 その時の授業も、まず初めに呪文などを教科書で一通り確認してから人間界へを向かった。《インキュバス》の成績もペーパーテストまではトップの成績を取ることが出来る。しかし、どうしても実技が伴わない。それを克服するために補習を行っているのだ。その甲斐あって実技もかなり自信がついてきた。今日の実験体はかなり精力が強いと言われている人間をわざと選んでみた。このハイレベルの人間をクリアできれば、かなりレベルアップしたことになる。まだトップを取ると言うところまでは行かないが、更なる自信に繋がるのは間違いないだろう。
 ミアは男の寝込みを襲った。しかも、先程まで激しいSEXを繰り広げていたホテルへと押し入ったのだ。溜まっている人間に《インキュバス》を掛けたところで何の意味もない。ミアほどの魅力を持った少女なら何もしなくてもOKする男が殆どだろう。何処までも自分に厳しいミアだった。
 ホテルの薄暗い部屋の中、男女の荒い息だけが聞こえている所へミアは静かに姿を現した。何度見ても浅ましい姿だと思う。子を宿す儀式などではなく、ただ欲望だけを求め合い抜け殻になった姿にしか見えない。
 ベットに横たわる女は、半分以上の意識が飛んでいる。その横で息を整えようとしている男が今日のターゲットだ。
「たいしたものだな……愚かな女だとはいえ、ここまでの快楽を与えるとは……」
「……はあ……お前誰だ……」
 疲れで頭が回っていないのか、意外にも驚いている様子はなかった。かなり体力も消耗しているのだろう、首を持ち上げてミアを確認することしかできないでいる。本当であれば、ミアのチャイナドレス風の衣装から伸びる脚を見ただけで男根はそそり勃つ事だろう……しかし、完全に精を出し切ってしまったのか男根は、勃つ気配さえ見せなかった。
「私はミア……お前を絶頂の彼方に導く悪魔だ」
 凄みのある声と紅く輝く瞳が、男を萎縮させ声も出せない様子だ。恐怖のため男根は更に縮み上がっていく、こんな事をしてしまっては逆効果のような気もするが、ミアには関係なかった。むしろ、もっと萎縮して貰っていた方が、よりよい修行になる。
 一変してミアは濡れた怪しい瞳を男に向ける……ただならぬ気配を感じたのだろう。男は女のことなど見捨て後ずさった。
「恐ろしいのか……この世で最高の快楽を教えてやろうというのに……まあいい……直ぐに私が欲しくなるのだから……〈ファスツィナツィオーン〉」
 両手を高々と上げ、《インキュバス》発動の呪文を唱える。すると掌からピンクに輝く光のシャワーが吹き出し、ミアの躰を包んでいった。その光がミアの躰に吸い込まれて行くに従い男の目の色が変わっていく……先程までの恐怖の色が溶け出し目尻が垂れ下がる。息も徐々に荒くなり、先程までピクリとも反応していなかった男根が、はち切れんばかりにそそり勃った。
「うおおぉぉ……」
 ミアの立つ姿を見ているだけで涎が流れ落ちてくる……我慢できなくなった男が、犬のようにベットの端までにじり寄ってくると、ミアは優しく男の頭を撫で微笑んだのだった。
「フフフ……良い子ね。私を抱きたいの……でもダメよ。良い子で寝てるの……今すぐ私が絞り出してあげるから……」
 ミアの頬もうっすら赤く染まっていた……これが《インキュバス》の成果なのだろうか見た目にも淫靡に変わっている。素面のまま《インキュバス》行うことは出来ない、ミア自身も欲情していなくては寄り深く人間を堕落させることが出来ないからだ。
「〈インス・ベット・ゲーエン〉」
 小さく呪文を唱えると男はミアに襲いかかることなく、ゆっくりとベットへ横たわった。男は自分でも信じられない顔をしている。きっと襲いかかるつもりでいたのだろう。その情けない顔はまさにお預けを食らった犬のようだった。その後を追うようにミアもベットへと沈み込み、いやらしい笑みを男に向けると頬に優しくキスをしてやった。
「は…早く……何とかしてくれ……入れたくてしょうがないんだ……」
「ダメよ……入れるなんて……でも、直ぐに気持ちよくしてあげるから……」
 ミアの手が、男根を握りゆっくりと上下に動き出す。その数回の動きだけで男根からは激しく精液が放出されたのだった。
「ホラ……気持ちいいでしょ……でも、まだ終わりじゃないわ……もっと、もっと気持ちよくしてあげるからね……」
 こうして、男から10回精を絞り出したところで、授業は終了した。これ以上やったら男を殺してしまいかねないので終わらせたのだ。精液まみれで教師の前に立つミアの顔は自信に満ちあふれていた。確かに、教師も今日の授業内容は褒めてくれた。しかし、満点をくれなかったのだ……詰め寄ろうとする前に、教師は減点の説明を始めた。それには、ミアも納得するしかなかった。これだけの量を出すのに、時間が掛かりすぎているのだ。人間をある程度堕落させるのまでは合格点、しかし、これでは完全に堕落させることは出来ない。ミアの手でのみ行うやり方では完全に堕落させることは出来ないのだ。自らの躰を使い、女の躰に依存させなくては、男を堕落させることは出来ない。この点が、今回の減点対象になったのだった。それは、ミアにも解っていること……しかし、自らの躰を使うことが出来なかったのだ。神人同士を相手に疑似的に《インキュバス》の授業を行った時、ミアは挿入された途端、自らの快楽に耐えきれなくなり何度も落ちそうになった経験があった。それが今でもトラウマとなり、挿入することが出来ず他のテクニックで授業をクリアしようとする結果に繋がっているのだった……
──大丈夫……私はこれだけでも男を堕落させる事が出来る……
 ミアは自らの掌を見つめていた……
「なにやってんだお前?」
 そんなミアを不思議そうな顔で見ながら隆がベットルームへ入ってきた。
「……遅かったな何をしていたのだ」
 何事もなかったようにゆっくりと腕を組むと隆を睨み付ける。
「床を拭いてたんだよ。あのままにしておくわけにも行かないだろ。お前さんの妹は、只今脅えている真っ最中なんで使い物にならないんだよ」
「ふん、逃げたのかと思ったぞ。それで《インキュバス》の勝負と言ってもどうするつもりだ」
「なぁに、簡単だよ。お前が《インキュバス》を使う。それに俺が耐えきれれば俺の勝ち、俺が耐えきれなければお前さんの勝ちだ……まぁ、俺も多少の反撃はさせて貰うがな」
 無謀なやり方ではないのか、これでは完全に隆が受け身になってしまう。ミアは馬鹿かと言う表情をして隆を見た。
「フフフ、そんなことをしても良いのか……元々お前に勝ち目はないのに、よりお前が不利になるのだぞ」
「ハハハッ……お前のような魅力の欠片もない女に俺が負けるとでも思っているのか」
「愚かだな。そんなことで私が怒るとでも思ったのか、やはり人間とは浅はかな生き物だな……ミルが来たら直ぐにお前を堕落させてやろう」
 既に勝ちを確信したのかミアは余裕綽々だった。きっとミルがこの勝負方法を聞いたとしても無謀だと気付いただろう。しかし、隆は不適な笑みを浮かべている。きっと隆のことだ何の根拠もないが勝つつもりでいるのだろう。
 そんな、勝負方法だとも知らずにミルが部屋へと入ってきた。
「遅い! 何をやってたのですか」
 容赦ないミアの声に、ミルは再び萎縮してしまう。
「ごめんなさい……あの……私は何処にいれば……」
「待っていなさい。貴女まで《インキュバス》に掛かってもらっては困ります……〈シュライベン《インキュバス・ガードペンタクル》〉」
 ミアが手を振ると一瞬にして光の魔法陣が床に書き込まれた。
「その中に入っていなさい。何があって出てはいけません……私が《インキュバス》を発動したら貴女など直ぐに私の虜になってしまいますからね」
 いつになく真剣な顔をしている。さすがに肉親を虜にするのは不味いと思っているのかも知れない。ミルは言われたとおりペンタクルの中に入った。
「それでは人間、覚悟は良いか」
「おう、何時でもきな! んで、俺はどうすればいい」
「お前は黙って術に掛かっていればいい〈インス・ベット・ゲーエン〉」
 ミアが手を振ると淡い光が隆を包んだ。不思議そうな顔をしていた隆は、何かを思い出したようにベットへと横たわった。
「この後はどうなるんだ。早いところ《インキュバス》を掛けてみろ」
「何も知らずに勝負を挑んだらしいな……《インキュバス》はお前に掛けるのではない。私に掛ける術だ……〈ファスツィナツィオーン〉」
 両手を上げるとピンクに輝く光のシャワーがミアの躰を包む。全ての光がミアに吸い込まれると部屋の雰囲気まで変わったような気がした。まるで、辺りがピンク色のオーラに包まれたようにミアのフェロモンが充満している。ミルは《ガードペンタクル》の中で不安になりながら事の成り行きを見つめていた。
──隆様、何考えているの……これじゃ、不利に決まってるよぉ〜……
 そんなミルの心配をよそに、何故か隆は平然とした顔をしている。それをやせ我慢をしていると見たミアは、色っぽい笑みを浮かべてベットに近づいた。
「少しは出来るようですね……さぁ、我慢しなくて良いのよ。私が、今まで感じたことのない快楽を味合わせてあげる……〈メッサー〉」
 ミアの手が光り出し、隆の服を撫でるとナイフで切ったように割れていく……隆はあっという間に裸にされた。しかし、ミアは服も脱がずにベットへ入り、隆の横に横たわると優しくキスをしたのだった。
「さぁ……始めましょうか……我慢しなくても良いの……逝きたくなったら直ぐに逝けばいいから……何度でもしてあげる……」
 手が男根に伸びる……そして、男根に触れた時、ミアの表情が変わった。
「なっ……何故……どうして……」
「だから、お前のような魅力のない女などに俺様が負けるはずがないと言っただろう」
 隆の男根は《インキュバス》で、淫猥になったミアに反応することなく、うなだれていた……いったいこれはどういう事なのだろうか……ミアの顔からどんどん淫靡な表情が消え、焦りの色が濃くなり始める……それでもミアは必死になって隆の柔らかい男根を擦り上げようとしていた。
「そんなことはない……人間ごときが私に何も感じないわけがない……そんなはずは……」
 ミアは本当に焦っていた。いくら成績が悪かったからと言って、何の反応も見せない人間は一人もいなかった。いや、《インキュバス》を掛ける前から大きくしている人間の方が多かったのに……
「いくらやっても無駄だ。俺様には勝てん!」
 これにはミルも驚いていた。女に触られて大きくなっていない隆を初めて見た。
「……隆様……何でお姉ちゃんの《インキュバス》が効かないんですか?」
 いくら《ガードペンタクル》の中に入っているからと言っても、魔力の痕跡は見えている。間違いなく《インキュバス》が発動しているはずなのにどうしてだか解らない。
「俺様には魔力が効かないってことだな。何も感じん!」
 変な能力を持っているだけではなく、魔力に対しての抗体まで持っているのか……それとも、神人に近い躰を持っていて魔力が効かないとでも言うのだろうか……もしそうなら、ミアよりも能力が高いことになる。《インキュバス》のような術は、魔力の差が顕著に表れてしまう。しかも、魔力の勉強をしていない隆が優位に立っていると言うことはかなりの力の差があることになる。
 ミアもそのことを考えた様子だが、そんなことはあり得ない。何らかの防御策をとっているか、本当に抗体を持っていると考えないとやりきれなくなってしまう。
「貴様……何をやった……本当に私の術が効いてないのか……」
「俺様には効かんな。言ってしまえば、その前の呪文も効いてなかったぞ。多分そうだろうなと思ったからベットに寝たまでだ……でも、お前が魔力を使っているのは解るぞ。どうも目の前がチカチカしてるからな」
 魔力をビジュアル的に見ることが出来るのか、こんな事が出来るからミュウの事も見ることが出来たのだろう。隆は、ミアの肩を押さえ男根から手を離させた。あり得ないことに驚いているのか、あのミアが素直に従っている。そして、ベットに座らせると隆も上体を起こした。
「何かこのままだとお前が見づらいからな……〈《インキュバス》エンデ〉」
 隆がまた呪文を唱えた。するとミアの胸元からピンクの光の玉が飛び出し空中で弾け散った……それをミアは驚きの表情を浮かべながら見ているしかなかった。隆は強制的に《インキュバス》を解除してしまったのだ。
「なっ……なぜ、その呪文を……」
「さっき、解除の方法本で調べてきておいたんだよ。お前らの本が家にあると何かと便利だな……それより、お前は《インキュバス》など使わない方が綺麗だ」
 そう言うと隆はミアを押し倒した。これからが隆の攻撃の時間だ。
「な…何をする……離せ……」
 信じられない力で、押さえつけられた……しかも隆の視線には《パワー・オブ・オーサリゼーション(眼力)》が込められており、ミアの躰を芯から熱くさせていく。
──なんだ……躰が熱くなっていく……こんな人間に……
 それでも何とか抵抗を見せようと脚をばたつかせたが、それもうまいこと押さえつけられ身動きが取れなくなってしまう。しかも、大きくなった男根が太腿に押しつけられているではないか……
──さっきまで、小さかったのに……どうして……
 その驚きの顔に隆も気付いたのか、わざと腰を動かしてみせる。
「お前はこの方が魅力的だと言っただろう。だから俺の躰も反応したんだ……」
「止めろ……そんなモノを押しつけるな……貴様などとするつもりはない……離せ!」
「〈嫌なのか? 違うだろ〉」
 《スピリットマウス(言霊)》でトドメを刺した。《パワー・オブ・オーサリゼーション》で熱くなった躰に《スピリットマウス》までたたみ掛けられてしまっては、防ぎようがない。
「あっ……あ……」
 更に、目に力を入れミアの躰に完全に火を付けた……躰は直ぐに抵抗する力が弱まり、隆に身を任せるような形になってしまった。
「〈抱いて欲しいのだろう〉」
「は……はい……抱いて欲しい……はああぁぁぁぁ……」
 隆の手が全身を撫で回している。小刻みに動かす指が、服の上からでもしっかり性感帯を刺激していた……解放された躰と精神は、その刺激を素直に受け入れミアの美しい顔が快楽に歪んでいった。
 今までに感じたことのない程の快楽が躰の中を駆け巡る。神人と肌を重ねた時よりも何倍も気持ちが良い。ミアの心はもうとろけ落ちそうだった。
──こんな男に……でも……ダメ……何も考えられなくなる……でもダメ……
 最後の抵抗を試みても、全身に奏でられる快楽が、理性おも飲み込もうとしていた。
 そして……
「はああぁぁ……ダメェェ……これだけじゃ……我慢できない……何とかしてぇ……おかしくなっちゃうぅぅ……」
 もうどうして良いのか解らなくなっていた……ミアは自分でも考えられないことを口走っている。それ程快楽が強かったのだろう……しかし、隆は服の上から刺激を続けるだけで、
胸を揉むことも股間に手を伸ばすこともせず、ましてや服すらも脱がそうとはしなかった。それが返って、寄り深い快楽を求めていく原因になったのかも知れない……ちゃんとして欲しいのにしてくれない……そこに歪みが発生し、ミアが崩れた。
「お願い……お願い入れて……この大きいので無茶苦茶にして欲しいの……」
 ミアは男根を握るとティーバックのパンティーを少しずらし自らの秘裂へ導いた。しかし、隆は入り口まで来たところで腰を止めるとそれより先に進もうとはしなかった。
「いやぁぁ〜……そんな……入れたいの……貴方も入れたいでしょ……遠慮しなくて入れて良いの……だから早く……」
「いや、遠慮してるわけじゃないんだよ。止めようと思ってな」
「えっ……そんな……いや、止めないで……このままじゃ私おかしくなっちゃうの……このまま止められたら私……私……」
 我を忘れて隆に抱きついた……先程までのミアとは思えないほどの変わりようだ。やはり血は争えない。ミルと同じように全身性感帯で出来ている感じやすい女の子だ。ここまで、感じさせられたしまっては治まりがつかなくなって当然だ。
「それは、困った……どうしたものかなぁ〜」
「お願い……私このままじゃ終われない……こんなに気持ちよくなったの初めてなの……もっと気持ちよくなりたい……私……こんな気持ちになると思わなかった……何でも言うこと聞く……だから……だからお願い……」
「そうかぁ〜何でも言うこと聞くのかぁ〜……じゃあ、ちゃんとお願いしてもらわないと」
 二人のやりとりを唖然とした顔でミルが見つめていた。あんなミアを見たことがなかったし、まさか隆に落とされるとも思っていなかった。
 ミアは、瞳に涙をいっぱい溜めて哀願した。心の底からの頼み事など初めてするのだろう……
「お願い……入れて……お願いぃ……」
「あれ……違うだろう。人に物を頼むときは『お願いします。ご主人様』でしょ。それじゃ言い直してみようか」
 いつもの通りのやり口だった。こうなったら隆は強い、こう言っていながらも手は小刻みに動き快楽を休ませてはいない。断続的に入ってくる快楽に縛られたミアが、拒むことなど出来るはずはなかった。
「お……お願いします……ご主人様……隆様お願い……入れて下さい……私の……私の中に入ってきて……私……隆様を感じたい……いっぱい感じたいの……」
 今まで突っ張ってきた反動が出たのだろうか……一度折れた気持ちは、隆の想像を超えるほど転がり落ち従順に求めてきたのだった。
「良い子だ……それじゃ脚を開いて……そうだ……」
「はい……ここに早く……」
 ミアは脚を大きく開き、そして手で秘裂も開いた。ミアの綺麗な秘裂からはミルと同じように大量の愛液が流れ落ち、ベットを汚している。その甘い香りが興奮をさそう……隆はミアの脚を抱えるとそのまま深々と男根を突き刺したのだった。
「はああああぁぁぁぁぁ……はあはあ……気持ちいい……気持ちいいの……動いて下さい……好きなように私を犯して……無茶苦茶になりたい……隆様に……無茶苦茶にして欲しいです……お願いします……私を……私を……」
 既に、陵辱される自分の台詞に酔っている感じだった。解放された精神が、心地よい自分の居場所を見つけたのだろう。
「お……お姉ちゃん……」
 ミアの快楽に歪む顔が、ミルの躰にも火を灯した。躰がどんどん熱くなっていく……しかし、ミア達に近寄ることは出来ずに、ミルはその場で自分を慰め始めたのだ。
「気持ちよさそう……あん……あんなに濡れてる……お姉ちゃん凄いよ……」
 隆の腰の動きに合わさるように、ミルの指も動かされる……流れ落ちる愛液が、ミルの興奮を示していた。
 隆は、衣装の襟元に手を入れると一気に左右に、開き衣装を切り裂いたのだった。
「はああぁぁぁ……もっと……もっと乱暴にして下さい……胸も……胸も揉んで……」
 ミルよりも大きい胸を自ら寄せて谷間を強調する。
「あいつよりもでかいんだな……Fカップくらいあるか……」
 両手で胸を揉んでやる。そうしてやるだけで、ミアの口元からは可愛らしい喘ぎ声が漏れる。本当に反応の良い姉妹だ。
「あっあっ……そう……ミルなんかより魅力的でしょ……隆様が望むなら……胸でもします……だから……もっと……もうすぐ逝きそうなの……あああぁぁ……イクッ……はうううぅぅぅぅ……」
「私もイクゥゥゥ……」
 《ガードペンタクル》の中でオナニーをしていたミルもミアと一緒に絶頂を迎えた。そんなことを気にしないでミアは、更に隆を求めたのだった。
「はあぁぁぁぁ……もっと……もっと逝かせてぇ〜」
 こうして、ミアとの勝負は決着が付いた……そして、ミアは隆の新しいペットになったのだった。

第十話「決戦! 隆vsミア!」終
第十一話へ続く
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