天国から来た悪魔
第三話 悪魔の試練???


「隆様ぁ〜、この格好で良いんですか?」
 ミルは、悪魔にあるまじき可愛らしい格好をしてリビングの前に立っていた。白いタンクトップの上に丈の短い薄手のジージャン。赤いチェックのプリーツスカートに、太股の中程まで有る赤白のストライプソックス。見た目の幼いミルに、似合った格好といえる。
「おお〜可愛い可愛い。まるでそこら辺の女子高生みたいだな……でも、お前さぁもう少し髪の毛伸ばして色落とせよ。何となくあか抜けないんだよな」
「それは、隆様の趣味でしょ! この格好だってそう……ちょっと可愛いけど……でっでも、悪魔なんですから髪の毛は黒が良いんです」
「まだ、悪魔じゃないだろ」
 隆は、ミルの傷つくような事を事も無げにズバリと言う。そのたびに落ち込むのだが、基本的に打たれず良いミルは、直ぐに立ち直る事が出来た。
「もう、意地悪ですね隆様。そんなことより、何でこんな格好が、隆様の家に有るんですか?」
 確かにそうだ。男の一人住まいに、何で女物の服が有るのか? さっきクローゼットの中を見たら10や20の数ではなかった。隆に女装趣味があるのかと思ったが、絶対に隆に着れるようなサイズではない。しかも、色々なサイズが置いてあった。
「ああ、いろんな女が来るからな。勝手に自分の荷物置いて行くんだけど別れた後は取りに来ないから溜まっちゃって、なんか捨てるのも勿体ないじゃん」
 どれだけの女性遍歴を持つのか想像も付かない。確かに勿体ないが、クローゼットの中には「メイド」「ナース」「チャイナドレス」等、一体何処へ来ていくのか、いや絶対に有ることでしか使わないであろう衣装まで、ちゃんとクリーニングされて置いてあった。一体誰がクリーニングへ出しに行っているのであろう。考えると頭が痛くなってくる。
「もういいです……考えたくありません。それで、今日は何処へ行くんですか? 私もついて行くんですよね」
「そりゃそうだ。お前もついてくるんだよ。発作が起きたら大変じゃないかお前がいれば何時でも出来るからな」
 もう慣れた……酷い言いようだが、その他ではミルに優しくしてくれている。それに、隆に抱かれることが全く嫌では無くなってしまった。だんだん具合も良くなっているので、むしろもっと抱かれたいと思っている位だ。だからといって……
「やっぱりそうですよね……でも、ノーパンは恥ずかしいんですからね」
「まぁいいじゃん。これもプレイの一環だからさ。それだけのミニスカートだから、少しかがんだだけで見えちゃうから気をつけろよ」
 隆は、ニタニタとミニスカートを見つめた。それだけで、恥ずかしさがこみ上げて、裾を引っ張り、顔を赤くする。その仕草がまた可愛らしい。
「あっ……あんまり、見つめないでください……隆様の目…すっごくいやらしくなってますよ……もう、だから何処行くんですか?」
 話をそらそうともう一度、聞いてみる。
「あっ今日は、学校へ行こうと思ってな。あんまり休んでると幾ら俺でも卒業できなくなっちゃうからな」
「えっ……隆様……学生だったんですか?」
「そうだよ。言ってなかったっけか? いいから行くぞ」
 意外そうな目で、隆を見つめる。これだけのマンションに一人暮らしをしているのだから、当然社会人だと思っていた。聞きたいことが次から次へと出てきたが、隆はリビングを出て玄関に向かった。
「ほら、靴もこれ履け。スニーカーだけど今日の格好にあってるだろう。靴だけは置いてく馬鹿はいないからな。昨日買ってきたから新品だぞ」
 この優しさが、ミルの胸をキュンとさせる。
──隆様、やさしい……
 ミルはスニーカーを見下ろし、隆の優しさをかみしめていた。
「なんだ。昨日計ったサイズ買ってきたから、ちゃんと履けるはずだぞ。それとも、気に入らないのか」
「そっそんなことないです。うれしいです。凄く」
 慌てて、真新しいスニーカーを履き、扉を開けて待っている隆に駆け寄った。
「お待たせしました。行きましょう」
 歩き出すとミルは自然に、隆の肘に手を乗せた。なんだかこれだけでうれしさがこみ上げてくる。
「何してんだお前」
「えっ……いけませんか……」
「……まぁ、いいか」
 そう言うと再び歩き出し、エレベータで地下駐車場へ向かった。
「地下まで行くんですか?」
「ああ、いつも車で通ってるんだよ」
 学生なのに車で通学とは良い身分だ。隆は一体何をやっているのだろう? それとも親がお金持ちなのかもしれない。
「そうだ!」
 エレベーターが4階を通過したとき、突然隆が1階のボタンを押した。
「車で行かないんですか?」
「ああ、今日はお前と一緒だし電車で行こうかと思ってさ。その方が楽しそうじゃん」
 何を言っているのか解らず。ミルは隆と一緒にエレベーターを降り、駅へと向かった。駅までは歩いて10分程度の距離にある。その間すれ違う男達、特に高校生達がミルを見つけると振り返ったり遠くで見ていたりした。その視線にミルも気が付きどことなく恥ずかしくなる。
「あの……隆様、みんなが見てるんですけど……私、やっぱり変ですか?」
 天界の者なのだから、何処か人間と違うのかもしれない。もしくは、隆は可愛いと言ってくれたが格好が似合っていないのかも……
「ああ、あんまり気にするな。きっと、お前が可愛いから見ているだけだから。これが楽しくてわざわざ歩いてるんだしな」
 隆は、薄い笑みを浮かべている。可愛い女の子を連れているのだから、他の奴に見せびらかしたくなったのだ。どことなく子供っぽい所のある隆だった。
「スカート気をつけろよ」
 隆に言われて思い出した。これだけのミニスカートだ。階段を登るとき後ろから見られてしまう。何気ない動きだが数人の男が、後ろから期待を寄せてついてきている。ミルはお尻に手を置き慎重に階段を登った。とりあえずは見えなかったらしい。落胆した男達の波動が伝わって来る。ホッと胸をなで下ろしている時、切符を差し出された。
「ほら、行くぞ」
 自動改札を通り、ホームへ着くと丁度電車が到着していたので、その電車に乗り込む。
 人間界の乗り物になど乗ったことがない。教科書やビデオで見たくらいだ。隆の部屋を出たのも考えてみれば、今日が初めてだった。見る物全てが新鮮で、キョロキョロしてしまう。そう言えば、通勤ラッシュという物があると聞いていたが、電車の中は比較的空いている。12時を少し回った所なので当然と言えば当然なのだが、そんなことを知らないミルは、不思議そうな顔をしていた。
「どうした?」
「電車って、もっと混んでるんじゃないんですか?」
「ああ、時間が時間だからな。朝夕はもっと混んでるぞ」
 そう言うと隆はミルを抱き寄せ、扉近くに連れて行き、人から見えないようにタンクトップを捲り上げ、ブラジャーを着けていない胸を車外にさらけ出す。
「たっ隆様……何を……」
 一気に顔が真っ赤になる。そして、胸を揉んできた時、やっと隆の考えが解った。なぜ、車を使わず電車で行こうと言い出したのか。ミルを見せびらかしたいわけでは無かったのだ。多少それもあったのかもしれないが、本命はこちらだったのだ。
「声を出すなよ」
 そんなことを言っても、出てしまいそうになる。ミルは俯き指を噛んで、必死に声が漏れるのを我慢した。そんなミルを嘲笑うかのように、隆は勃起した乳首を摘む。
「はぁぐぅ……」
 小振りの胸だが、感度は最高だ。摘まれただけで躰の力が抜けてしまう。隆に支えられていなければその場に崩れ落ちてしまいそうな快楽が、全身を駆けめぐっている。
「隆様……ダメェ〜……流れて来ちゃう……みんなにバレちゃうよ……」
 敏感なミルの躰は、胸を揉まれただけで秘裂を濡らしていた。それは今にも流れ落ちそうになる程、どんどん愛液を溜めていく。
「じゃあ、乳首はやめてやろう」
 乳首を摘むのを止め、ふくらみだけを揉む。そんなことをしたからと言って快感が弱まるわけもなく、秘裂は決壊寸前だった。
「ダメェ〜……変わらないですぅ……あっ……出ちゃう」
 流れ出た愛液を太股に擦りつけ、ギリギリの所で押さえつける。しかし、流し込まれる快楽は止まらない。このまま続けば、ソックスを汚すのも時間の問題だろう。
 その時、手が胸から離れ、タンクトップを元に戻してくれた。
「着いたぞ」
 隆は、ミルの手を引き電車を降りた。濡れた太股が風にあたり、冷たくなっていく。きっと車内の客は、真っ赤な顔をして出て行くミルに気が着いたことだろう。何人かは二人の行為自体に気が着いていたかもしれない。そう考えると更に恥ずかしくなる。
「隆様……トイレへ、トイレに行ってきます」
「ダメ、時間が無いからこのまま行く」
「あ〜ん……そんなぁ〜」
 先程のように流れ出しては来ないが、下半身が気持ち悪い。愛液を拭き取りたかったが、隆はそれを許さず歩いていく。
──こんなことして……きっと隆様は、喜んでるんだよね。もう、Hなんだから……
 このような行為をされても別に嫌ではなかった。むしろ、感じてしまう。悪魔なのにMであって良いのだろうか? イメージとしてSのような気もするが……
 大学は、駅を降りて5分程度の所にあった。校門をくぐると男女を問わず色々な人が声をかけてくる。どちらかと言うと女の方が多い、クローゼットにある女物の洋服の量を考えれば当然かもしれないが、男女を問わず隆は人気者だった。校舎の脇にあるベンチにいる、男3人女2人のグループを発見すると隆はそこに足を向けた。
「若者よ。どこぞに遊びに行く予定を立てておるのかな」
「よお、隆! 久しぶりだな〜。なんだ、授業でも受けに来たのか?」
 それは、隆の仲間らしかった。返事を返したのが宇智田克英、隆も一目置く存在だ。成績も常に上位をキープしており、スポーツマンタイプではないが、線の細い華奢なところが女にももてる要因だった。何より話が合うのは克英も隆同様女癖が悪い。そんな克英が、横にいるミルを見逃すわけがなかった。
「なんだ隆……とうとう高校生まで手出したのか?」
 克英は、少し軽蔑した目を向けている。別に決め事を作ったわけではないのだが、二十歳以下の女には、今までお互いに手を出してこなかった。ましてや、高校生など子供扱いをしていたからだ。22歳の二人が言う言葉ではないが……
「何言ってるかなぁ〜、これでもこいつ俺達と同じ年なんだぜ。どう見ても見えないけどそこがまた可愛いじゃないの」
「ふ〜んそうなのか、ならいいや。隆もとうとうプライドまで無くしたかと思ったからさ」
 そう言うと克英は、ミルと事を値踏みし始める。その視線が、ミルにとって余り心地よい物ではなく、少しだけ隆の後ろに隠れる。
「確かに可愛い子だな。俺達と同じ年には見えないよ。え〜っと何ちゃん?」
「ああ、こいつね……笠原瑠実って言うんだ。ほらお前もお辞儀ぐらいしろ」
 隆は、ミルの頭に手を置き無理矢理お辞儀させる。笠原瑠実……一体何処から出てきた名前なのだろうか、咄嗟にしてはなかなか良い名前を言ってくれる。
「ふ〜ん。瑠実ちゃんって言うんだ。これからお茶でも飲みに行かない。名前呼ばれてないって事は、まだ彼女じゃないんでしょ。そうなんだろ隆」
 細かいところをちゃんと聞いている克英だった。確かに、ミルは名前で呼ばれていなかった。しかし、ただそれだけの判断で、人の連れてきた女の子を誘うとは……ミルも突然の申し出に、戸惑いオロオロと隆の顔を見上げた。
「あのねぇ〜……俺の連れてきた女に声かける奴なんて、お前ぐらいなもんだよ。確かに彼女じゃないから良いんだけどさ」
 とんでもないことをサラッと言ってくれる。その言葉に慌てて隆の肘を引っ張った。
「そんな……隆様……」
「たかしさまぁ〜……」
 仲間が一斉に驚いた。幾らなんでも行き過ぎだろう。
「お前、この子に『隆様』って、呼ばせてんの……趣味悪いな」
「ああ〜違う違う、勝手にこいつがそう呼んでるだけ。お前も場所をわきまえて呼べよな。俺が変な目で見られるんだから」
 突然責められて、なんだか落ち込んでしまう。ミルは寂しそうに俯いてしまった。完全に隆の事を好きになってしまった様子だ。先程の言葉もそうだが、チョットした事が気になってしまう。
「まぁいいんだけどさ……おっと抗議始まるな。おい、お前さぁ克英と茶でもして時間つぶしてろや、2時間くらいで終わるから……そうだな。3時半にまたここに来ればいいから。んじゃ、克英。こいつの事頼むわ」
 そう言い残すとミルの返事など待たずに、サッサとその場を立ち去ってしまった。
「んじゃ、瑠実ちゃん行きますか。それじゃ俺達も行くから、また明日な」
 みんながみんな勝手に話を進めてしまう。その勢いにミルは全く着いていってない。克英はミルの手を引くと仲間の輪から離れていった。いつものことなのだろう克英の行動に文句をつける者など一人もいない。むしろ、手を振って二人を見送った。
──えっえぇぇ〜……何…何が起こってるの……隆様は…えっ……何で私がこの人と……えっ……どうなっちゃってるのぉ〜……
 神人のミルが人間に振り回されている。人間はもう少し下等な生物と教わっていたが、とんでもない。ミルには到底対処のしようが無かった。
「さぁ瑠実ちゃん何処行こうか、お茶飲んでるだけじゃつまらないだろ。隆の事だ、色々とやられちゃってるんでしょ。どんなこと教わったか俺にも教えてよ」
 何とストレートな人間だ。隆もそうだったが、欲望に忠実な人間しかいないのだろうか。克英は、校舎の裏の木立の方へ向かっていた。人気はどんどん少なくなり、そして誰もいなくなった。
「さぁ、静かなところに来た。隆がああ言ってるときは、好きにして良いって事なんだよね。あいつ酷い男だろ、こんな可愛い子をほっといてさ」
 言っている事が無茶苦茶だ。自分がこれからしようとしてる事は、完全に棚の上だ。
「そっそんな事無いです…隆様は、優しい方ですよ」
「俺の方がもっと優しいよ」
 華奢な男とは思えない力で、ミルを抱き寄せ唇を奪った。その俊敏さに、ミルは避けることも出来なかった。そして、克英の手が胸に伸び絶妙な力加減で揉んだ。
 躰には、先程の余韻が残っている。克英の動きにミルは敏感に反応してしまった。
──はぁ……いや……ダメなの……感じちゃダメ……
 ミルの気持ちとは裏腹に、躰はどんどん反応してしまう。それをOKと感じたのか、克英はどんどん大胆になっていく。胸を揉んでいた手は、タンクトップをまくり上げた。
「へぇ〜、ノーブラなんだ。これは自分の意志なのかな。隆の意志なのか……きっと、隆の趣味だよなこれは……って事は」
「いやぁ〜……」
 容赦なくミニスカート捲り上げ、克英はにんまりと微笑んだ。
「やっぱりね。女の子に下着つけさせないの好きだよな〜、まぁ悪いとは言わないけど」
 克英は、ミルの気持ちなどお構いなしに胸を吸い。秘裂を指でもてあそぶ……ミルは、その慣れた手つきに反応ししてしまう。青空の下、陵辱的な行為がミルを興奮させた。しかし、躰とは裏腹に気持ちは、耐え難い嫌悪感にさいなまれていた。
──いやぁ〜……何で反応…しちゃうの……感じたくない……隆様以外に…されるのなんて……嫌ぁ〜……
 そう思っても躰は熱くなり、秘裂からは人間では考えられない量の愛液が流れ出ていた。
「すっすごいな君……こんなに喜んでもらえるとは思わなかったよ。隆にもかなり仕込まれてるみたいだけどこんなに感じなかっただろう」
 量の多さは、自分の愛撫の仕方がうまいからだと思いこんでいる。確かに人間の倍も出る愛液を見れば、誰でもそう思うかもしれない。しかし、それでも隆に愛撫されている時の量に比べれば少なかった。
「そっ……そんことない……感じてないもん……あうっ……全然…感じて無いんだから…」
 そんな言葉を言っても信用されず。男を喜ばすだけだと言うことにミルは気付いていない。ミルの可愛らしい抵抗が克英の欲望に油を注いだ。克英は一気にミルを押し倒したのだった。
「いやぁ〜……汚れちゃう……洋服が汚れちゃうよ……」
 ミルは、真っ先に自分のことより隆が選んでくれた洋服の事を気にした。軽く言ってくれた「可愛い」の一言がうれしかったのだ。これから起こる事を考えると涙が頬を伝う。犯されることよりも隆を裏切っている事が悔しかった。
──なんで…なんで、神人の私が人間なんかにおもちゃにされなくちゃならないの……隆様みたいに……何にもつながりのない人間に………………あれ??? そうだよ。何で、隆様以外に、言いなりになってるんだろ私?? 隆様は、契約を守れなかったから僕(しもべ)になるのは当然として……なんで、こいつに良いようにやられてるわけ
 一瞬にして、快楽が冷めた。隆にやられるのならともかく、何も関係のない克英に、何で好きなようにやられているのか……いや、やられる必要など何処にもない。ましてや、神人と人間、どちらが強いかは明らかだ。いくら、見習いだからといって人間なんかよりも遙かに強い。
「ちょっと、いい加減にしてくれる。離れてよ!」
「へっ」
 突然の変貌に克英は驚いた。先程まで腕の中で喘ぎ声を殺していた女の子とは思えない。完全にその表情からは快楽が抜けている様子だ。
「どっ……どうしたの」
「さっさと離れなさいよ。なんで、あんたなんかにやらしてあげなくちゃならないの! って言うより身の程をわきまえなさい」
 狼狽はしているが、そこは百戦錬磨の克英だ。感じさせようと手の動きを早めた。しかし、そんなことはやっても無駄だった。
「解らない奴ね。思い知らせてあげる」
 ミルは目を閉じ、小声でスベル(呪文)を唱えた。
「ギャアアアアァァァァァァ〜」
 克英は、まるで雷に打たれたように躰を硬直させて飛び跳ねた。数メートル先に飛ばされた克英は目を回して気絶していた。ミルは克英に電撃を食らわしたのだった。
「まぁ、これくらいじゃ死ぬこと無いでしょ。たかが下等生物のくせに、神人の私を抱こうなんて一千億年早いのよ」
 ミルは、立ち上がり情けない顔で気絶している克英を見下ろした。その姿は、本当の悪魔のように見える。怒った時は、こんな可愛い女の子でも悪魔になるのだろう。
 その時、木の陰から一人の男が現れた。
「あ〜あ、ちょっとやりすぎでねーの」
「隆様ぁ!」
 振り向くとのんびりと歩いてくる隆が目に入った。今までの事を見ていたのだろうか、こんな姿を見られたとすれば、隆に嫌われてしまう。色々な事が頭をよぎった。そんなミルを気にも止めず克英の顔をのぞき込んだ。
「あらら、泡拭いちゃってるよ。なっさけない顔だねぇ〜」
「あっ……そっその……こっこれは……この人が無理矢理して来たから……いえ、まっまだされてませんけど……あの……」
 一生懸命言い訳をしようとするが、言葉にならない。自分でも何を言っているのか理解不能だった。
「まあまあ落ち着け、そんなの最初っから見てたから知ってるよ」
「始めか見てたんですかぁ〜」
 講義はどうしたのか? その為に大学に来たのではなかったのか? 疑問が一杯浮かんでくるが何から聞いて良いのか解らない。その慌てぶりを笑いを殺しながら隆は、眺めていた。
「クックッ…お前やっぱり面白いな……まぁ、今回は合格って所かな」
「合格??? 何ですか?」
 一体何がなんだか解らない。「合格」って何のことなのか。非道い話だが、ミルの事を試していたのだ。どれだけ自分に忠誠を誓っているのか克英を使って試験をしたとの事だった。これだけ、可愛い女の子を連れて行けば克英が手を出さないわけがない。隆と同じで克英も女には見境がないからだ。案の定、隆のいる前でミルを誘い始める。隆は、わざと講義に出ると言って、後を付けていたのだった。
 ミルが、拒めば良し、そのまま受け入れてしまえば、これからの扱い方が変わってくる。「悪魔の契約」を守れなかったのだから、別の神人を連れてこさせるも良し一生小間使いさせるも良しだ。その話を聞いてミルは唖然とした。
「ひっ…非道いです。隆様……私、すっごく怖かったのに……凄く辛くて、悲しくて……それなのに……隆様は……こんなこと……」
 とてつもなく非道いことをされているのに「嫌い」の一言が言えなかった。なぜ、言えないのか? 始めての男だから? 嫌違う……その他にも惹かれる何かが、離れられない何かが隆にはある。それが、何なのか解らないが、その事が隆を「嫌い」と言えない理由であった。
 大粒の涙を見て、隆も心が動かされたのか優しくミルの肩を抱いた。
「悪かったな、辛い思いさせて……俺のこと『嫌いじゃないだろ』」
「……はい」
──……そんなぁ……ここで〈Spirit Mouth〉を使うなんて……
 隆は、全く反省している様子はなかった。何かあったら〈Spirit Mouth〉で言いくるめれば良いと考えていたのだ。しかし、ミルは本当に〈Spirit Mouth〉のせいで頷いたのだろうか……
「そうか、良かった。じゃあ、せっかくだからここでするか」
「えっ……ええぇぇ〜」
 隆はズボンを降ろし、ミルを抱え上げるとまだ乾いていない秘裂に男根を突き刺した。
「ああぁぁ……そんなぁ……隆様ぁ〜」
 ミルは、何と表現して良いのか解らない。色々な物が入り交じった喘ぎ声を上げた。一体何のためのテストだったのか、全く理解できない。
 しかし、不思議なミルのテストは終了したのだった。

第三話「悪魔の試練???」終
第四話へ続く
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