晶君の憂鬱 〜その2〜


 昨日の楽しいお出かけから一転して、晶は朝から憂鬱だった。昨日の晩もタップリと澪にかわいがって貰ったのだが、朝起きてみると澪の姿がない。眠りについた時には、確かに横に寝ていたはずなのに、起きてみると澪の姿は何処にもなく、ベットが冷たくなっている。抜け出してからかなりの時間が過ぎている様子だった。
「どうしよう……」
 澪の帰るところは研究所しかないのだから、心配することはなかった。それよりも、このままだと学校へ行けなくなってしまう。澪と一緒にいなければどうなってしまうかは目に見えていた。シンディの話では、澪を呼び寄せることが出来ると言っていたが、何度試してみても澪は現れなかった。危機が訪れないと発動しない能力なのかも知れない。
「はあ……」
 何度目かの深い溜息をついて晶はベットを抜け出した。こうしていても時間どんどん過ぎていってしまう。澪の携帯電話に何度も掛けてみるのだが、電源を切っているのか電波の届かないところにいるのか、はたまた電池が切れているのか解らない。余り電話が好きではない澪は、電池など気にしておらず電池がなくなって何日も気が付かないことがしょっちゅうだった。一応、何時でも学校へ行ける準備をしておかなくてはならない。
「もう……何時も勝手にいなくなっちゃうんだから……一緒にいなくちゃならないの解ってるはずなのに……本当に澪はボクのこと好きなのかな……」
 昨日が楽しかった分、落ち込みは激しかった。ふらふらとバスルームへ行き、シャワーを浴びる。低血圧の晶は朝からシャワーを浴びないと頭がスッキリしない。躰を拭くと最近やっと着け慣れてきたブラジャーを着け制服に着替えた。その姿を鏡で見ると未だ違和感を感じる。男の時と変わらない顔立ちなのに、制服が女物になっている。自分で言うのも何だが別に似合わないわけではない。むしろこっちの方がしっくり来ているような気もする。しかし、鏡の中の自分は、まるで写真を見ているようで自分の姿を映しているような感じはしなかった。
 それでも、最近はかなり女でいることにも慣れてきた。性格的には女でいる時の方がかなり楽な部分も沢山ある。
「う〜ん……これで良いのかなぁ……澪が言うように、女の子でいた方がボクに会ってるのかな……」
 などと考えながらキッチンへ向かい、お茶の用意をする。自分にはコーヒーをそして仏壇に眠る両親には、小さな蓮の花の付いた湯飲みにお茶を二つ入れる。そして、仏壇の前に座ると湯飲みを写真の前に乗せお鈴を鳴らした。
 チーン
「おはよう。お父さん、お母さん……」
 静かに手を合わせて、朝の挨拶をすませる。もし両親が生きていたら、今の晶を見てどう思うだろうか……育ての親であるが、晶を本当の子供と思い大切に育ててくれた。母親など前々から「本当は女の子に生まれてくるべきだったのかも知れないわね。こんな線が細くて、お母さんが若いときよりもずっと女の子らしいものね」とよく言っていた。
 写真の中の両親は何時も優しく晶を見守っていてくれる。今の晶を見ても「がんばりなさい」と言ってくれてるような気がした。
「さぁ、ご飯食べよう。もうこんな時間、用意してる暇がないからどうしよう……まぁいいや、今日もシリアルにしよう」
 シリアルをお皿に少しだけ入れて牛乳を掛ける。澪といるようになってから夜が遅くなったので、なかなか思った時間に起きられない。必然的に朝食を作ってる暇がなくなるので、朝はシリアルを食べることが多くなった。少し前までは、ご飯を食べないと調子が出なかったが、最近はこういう朝食も良いかも知れないと思い始めていた。
 5分ほどで終わる簡単な朝食をすませ、鞄を取りに自室へ戻った。さあ、これからどうしよう。もう一度、携帯に掛けてみるが先程と同じメッセージが流れた。
「やっぱり出ない……研究所にも掛けてみようかな……」
 研究所にも掛けてみる。電話が鳴ると直ぐにシンディの明るい声が聞こえてきた。
「おはようございます晶さん」
「あっ、おはようございます。シンディさん……あの、そっちに澪は行ってますか?」
 男になった澪は、どうも学校を休みたがる。行ってしまえば楽しそうにしているのだが、朝が起きるのが面倒くさいらしい。もしかすると、まだ寝ている可能性もある。
「今日は、何時も通り出ましたよ。夜中に突然戻ってきましたけど、何かあったんですか……喧嘩でもしたとか?」
 シンディは、何時も晶のことを心配していてくれた。
「いいえ、喧嘩はしてないですけど突然になくなっちゃったんです。このままじゃ学校に行けないしどうしようかと思って……」
「そうですか。今から私が向かっても遅刻しちゃいますね。とりあえずこの前、お渡しした錠剤を飲んで行くとかじゃダメですか?」
 葛西は、色々な装置や薬を作ってくれたが、どれも完全にフェロモンを押さえ込むに至らなかった。
「あの薬は、5分くらいしか持ちませんでしたから……それに、学校についても澪がいなかったらダメですし……」
「でも、制服着て出て行きましたよ」
「そうですか、じゃあ通学の時は薬で何とかします……でも、本当に学校に行ったんですかね……」
「う〜ん……どうでしょう」
 澪のことだ途中で、どこかへ行ってしまったとも考えられる。それでも、澪が来ていることを信じて学校に行くしかない。何時また行けなくなるか解らないので、なるべく学校を休むことはしたくなった。
「解りました。とりあえず学校に行ってみます。ありがとうございました」
 そう言って、晶は電話を切った。そして、もう一度自室に戻ると先日葛西から渡された薬を取り出した。残り5錠……行って帰ってくる量はない。それでも、薬をポケットに入れると晶は学校へと向かった。

 校門の前まで来て、晶は入るのを躊躇した。チェンジした翌日に、一人で登校するのは初めてだったからだ。しかし、迷ってもいられない、もうすぐ薬の効き目も切れてくる時間だろう。晶は、決心したように校門を潜った。
 下駄箱に着いた時、視線を感じるようになった。性欲の強い男子生徒が、晶をいやらしい目で見ている。薬の効き目がなくなり始めると、性欲の強い者から敏感に晶のフェロモンをかぎ分けるようになってくる。慌てて靴を履き替えると小走りで教室へ向かった。徐々に視線が強くなってくる。晶の乳首は痛いほど勃ち、股間は濡れ始めていた。
──あうっ……ダメェ……お願い澪……学校に来てて……
 祈るように教室に入った。
 教室には、晶の苦労をよそに澪が友達と大きな声で談笑していた。とりあえずは、視線の呪縛からは解放されたのだがどうも釈然としない、澪の笑顔を見ていると何だか腹が立ってきた。先程の心配なども澪が男の制服を着ているのだから、とっくにばれているので今更恥ずかしがってもしょうがない(恥ずかしいのは恥ずかしいのだが)。
「晶ちゃ〜ん。おはよう〜」
 明美が晶に抱き頬にキスをした。いつもの朝の挨拶……しかし、あろう事か軽く唇にもキスをしたではないか……それには、流石にクラス中が驚いた。
「た…滝沢さん……何するの……」
「ごめ〜ん。もう、女の子の晶ちゃん可愛すぎるから、どうしても唇を奪いたくなっちゃったの。でもいいじゃない。女の子同士なんだから」
 訳の解らない言い訳をしてきた。女の子同士だから不味いのではないのか……
「……ちっ違うでしょ……女の子同士だからいけないんでしょ……」
「あれ?? そうだっけ……でも、男の子の時じゃ片桐さんがヤキモチ焼くけど女の子同士だったら、ヤキモチ焼くこともないわよね。片桐さん」
 優しい笑顔で晶達を見ている。確かに、澪の顔には嫉妬の色など全く見られなかった。
「うまいこと言うな〜、確かにそうかもな。これで、男が晶にキスしたんだったら、半殺しにするけど明美がしたんじゃ怒れないもんな。それに、良い物見させて貰ったしな、どうだ明美! 今度、晶を抱いてみるか」
 クラス中が大いに沸いた。朝からエロトーク満載の澪だが、晶はそんなのには全くついていける訳がなかった。
「澪! なんてこと言うの……そんなことするわけないでしょ! 滝沢さんが困るようなこと言わないで」
 実際一番困っていたのは晶自身だった。顔を真っ赤にして恥ずかしさに耐えている。しかし、明美はそうではなかった。
「そんな。私は全然困ってないよ。片桐さんが良いって言うなら私はいいよ……どお、晶ちゃん……」
 再びクラスが沸く。最近の明美の行動は解らない。これが本気で行っていることなのか、いつものように話を合わせて、良いようにあしらっているだけなのかが判断できない。
「た…滝沢さんもからかわないで!」
 晶達が、チェンジしてきた次の日は、大体こんな感じだった。むしろどんどんエスカレートしていた。二人がどんなことをしてきているのかクラス中が知っている。その為に、少しエッチな話が中心になることが多かった。それにしても、このクラスというか、学校全体が物わかりが良かった。常人に理解できない晶と澪の関係、チェンジにしてもすんなりと受け入れてしまっている(まぁ、この事を受け入れて貰わなくては話が続かないのだが……)。
 これでは、澪を怒るどころの騒ぎではなくなっていた。困り果てて佇む晶をクラス全員が可愛いと思っていた。
「お前ら〜何時まで騒いでるんだ。早く席に着け!」
 何時も担任の澤井にたしなめられてクラスがやっと静かになる。澪の前の席に着いた晶は少しふて腐れて澪の顔も見ようとしなかった。
「晶、そんなに怒るなよ。それに、俺だけじゃないだろ……みんな晶のことが好きだからちょっかい出したいんだって」
「違うもん。そんなことで怒ってるんじゃないもん。何でボクが女の子でいるのに帰っちゃうの、ボクが一人でいたらどうなるか解ってるでしょ」
 今更こんなことを言ってもしょうがないが、下腹部に僅かに残った快楽があるため、そう簡単に澪を許すことが出来なかった。話していても後ろを向こうともしない。
「悪い悪い。そう怒るなよ……今日は、休むと思ったからな。最近疲れてるみたいだし、起こしちゃ悪いと思って帰ったんだけどな」
「なんで、ボクが学校休まなくちゃならないの。勝手に決めないで……」
「あれ? 晶気付いてないの……」
 この時、やっと振り向いた。澪の顔を見ると何故かニヤけている。
「何なの? 何かボクが気付いてないといけないことでもあるの?」
 晶には何のことだかさっぱり解らない。
「あ〜あ、すっかり忘れてるだろ。今日体育あるんだぞ!」
「あっ……」
 この時、やっと休むんじゃないかと思った理由が解った。しかし、澪がいなくなったことで全く考えていなかった。
──どうしよう……全然気が付かなかった……
 『何て不便な躰なんだろう』この時は心底そう思った。早退してしまおうかとさえ思ったが、薬は後二錠しか残っていないので、一人で帰ることも出来ない……体育の時間は休むにしても何処に隠れていればいいのだろう。そう考えると、授業どころではなかった。
 体育の授業は4時間目……どう切り抜けるか良い案が浮かばずに3時間目の授業が終了した。
「晶、どうするんだ。俺達と一緒にここに残るか?」
 そんなこと出来るわけない。女でいるのに男子の着替えている所に残れる筈はなかった……男でいる時は気にならなかった男子生徒の裸も、今はまともに見ることも出来ないだろう。このまま教室でジッとしてるのが一番だろうが、男子が着替えだしてしまう。
──どうしよう……澪に端で着替えて貰って廊下で待ってれば何とかなるかな……
 5メートル以内にいれば、何とかフェロモンに反応する人達はいなくなる。しかし、澪を視野に入れていないで廊下で待っているのはかなり不安だ。それでも、これが一番良い考えだろう。
「澪、端で──」
「晶ちゃん、早く出よ。今は女の子なんだから、私達と更衣室で着替えるんだよ」
 明美が、晶の手を引いた。クラスには晶と明美しか女生徒は残っていない。
「滝沢さん……でも、ボク……」
「もう、恥ずかしがってるんじゃないの! 今は晶ちゃん女の子なんだから、他の子だって気にしないって。晶ちゃんなら男の子の時でも大丈夫かも知れないんだから」
 本当に、晶のことを男扱いしていない。これは、明美だけではなくクラス中がそうなのだが。しかし、そんなことを言っているのではないが、澪と一緒にいなくてはならないことは、誰一人知らないので仕方がなかった。
「ほら、早く! 行くよ」
 晶の言うことなど聞かず、引きずるように更衣室へ向かった。
「滝沢さん……待って、ボク体操着なんて持ってないよ。だから、授業は休むから教室で待ってるよ」
 今まで、体育のある日は学校を休んでいたので女性用の体操着など持っていない。しかし、明美は不適な笑顔を晶に向けた。
「大丈夫だって、ちゃんと晶ちゃんの分も用意してあるんだから、クラス中の女の子が晶ちゃんが体育の授業に出るの楽しみにてたんだよ。きっと、晶ちゃんのブルマ姿可愛いだろうね〜って噂しながらね」
 女生徒だけではない、クラス中が楽しみにしていた。そんなこととは知らずに、不覚にも登校してしまった。
 澪から離れるにつれて、視線が晶の躰を刺激していた……校内なので無茶なことをする生徒はいなかったが、晶を見る視線がどんどんおかしくなっていく、晶は慌てて薬を飲んだ。今はこれでやり過ごすしかない。
「晶ちゃん連れてきたよ」
 明美は、勢いよく更衣室のドアを開いた。女の子特有の甘い熱気が晶の鼻を刺激する。休み時間も半分は過ぎていたので更衣室内に残っている女生徒は2人しかいなかったが、晶を拍手で向かい入れた。
「待ってたよ〜、晶いつも体育の授業の時休むから。ハイこれ、晶の体操着!」
 赤いブルマと白に赤いラインの体操着をかざしている千秋と美保、その顔には怪しい笑顔が浮かんでいた。
「さぁ、晶……これ着ようね」
 目が据わっている。何だが襲われそうな雰囲気だ……さっき薬を飲んだので視線に感じることはないが、薬が切れた時が怖い。
「う…うん……ありがとう、佐久間さん……自分で着るから……」
 晶は、美保から体操着を受け取ると着替え始める。後どれくらい薬が持つだろうか、この状況だと薬が切れた時にはかなり不味い状況なってしまうだろう。今でも晶の着替えを三人固まってじっくりと見つめている。
「やっぱり、晶ちゃん女の子になってた方がいいよ。白い肌が凄く綺麗……」
「そうだね。晶にはこっちの方が良いかもね」
「晶、ウエスト細いんだね。羨ましいぃ〜」
「もう、三人ともそんなに見ないでよ。恥ずかしいでしょ」
 まだ着ていない体操着で胸を隠しながら明美達に訴えるが、三人はそんなことでは動じない。
「なに言ってるのよ。女の子同士なんだから、照れることないでしょ。晶も覚え解きなさい。女の子同士は見せあうものなのよ」
 無茶苦茶な理由をつけてきたが、何も知らない晶は『そうなのか』と納得してしまう。だからといって恥ずかしさが減ったわけでも、見せるわけでもなかった。
 三人に見つめられながら体育着に着替える。初めて履くブルマが恥ずかしい。晶は頬を染めながら振り返った。
 赤いブルマから伸びる白い脚が綺麗だった。少し膨らんでいる胸も体操着と言うアイテムに丁度良い。
「可愛い〜」
 声がそろっている。そんなことを言われるとよけい恥ずかしくなってしまう。
「そ…そんなに見つめないで……本当に恥ずかしいんだから……」
「晶ちゃん今度一緒に洋服買いに行こう。女の子の服持ってないでしょ。いろんなの選びに行こうよ。晶ちゃんなら似合う洋服いっぱいあるからさ」
 着せ替え人形の感覚なのだろうか、三人は『あそこで売ってたスカート似合いそう』だとか『ワンピースとかも良いかもね』とか『アダルトチックなの着させて片桐を驚かそうか』等と晶そっちのけで話し合っていた。
「いいよ……ボクは、今の服でいいから……ホントは男だし……」
「ダメよ。女の子はオシャレしなくちゃ! それに、最近は女の子でいる方が多いでしょ。片桐といたらきっと何時も晶は、女の子のままだよ。だから、女の子の洋服も買って置かないと……」
 美保の目が少し変化しだした。と同時に晶の躰が視線を感じるようになる。
──えっ……薬が切れた……早く薬を飲まないと……
 制服を取ろうとした手が、千秋に止められる。
「晶……女の子は下着にも気を付けなくちゃいけないんだよ。ちゃんと着けられてるかチェックしてあげようか……」
 みんなの視線が、ねちっこく躰にまとわりつく。それでも、何とか制服を掴むと後ずさった。
「い…いいよ……ちゃんとシンディさんに着け方とか教わってるから……」
 急いでスカートのポケットを探ってみるが、なかなか薬が見つからない。そんなことをしてる間に三人の輪が少しずつ狭まってくる。
「遠慮することないんだよ。私達女同士じゃない……いろんなこと教えてあげるから……」
「そうだよ。晶は片桐に抱かれてるんでしょ……ちゃんと片桐のこと喜ばしてる……男が喜ぶテクニックも教えてあげるよ」
 美保が、素早く後ろに回り抱きついてくる。その手は直ぐに晶の小振りな胸を鷲づかみし、ゆっくりと揉み始めた。
「晶……胸小さいね……でも、晶には似合ってるよ……片桐もこれで良いって言ってるでしょ……」
「あん……佐久間さんダメ……そんなことしないで……あうっ……」
 敏感になった躰からは、どんどん力が抜けていく……晶の手から制服が落ちた。その手にはかろうじて掴んだ薬が握られていたが、抱き寄せられたままでは飲むことが出来ない。
──……ダメ……力が入らない……薬飲まなくちゃ……
 三人のせいなのではない。これも、バンパイアをおびき寄せるためのフェロモンの強さが、三人をおかしくさせているのだ……それは、解っている。解っているのだが、三人の目は晶を陵辱することに興奮を覚えている目に見えてならなかった。
 明美が両手首を押さえ頭の上に持ち上げた。元々力のない晶は、女の子の力でも押さえ付けられてしまう。その上、快楽でより一層力が出なくなり、良いように体勢を変えられていた。
 そのまま三人に押さえ付けられ、晶はベンチシートに押し倒された。何処から取り出したのか、千秋が縄跳びを持ち出し晶の手首を縛り自由を奪ってしまう。
「そんな……金沢さん…やめて……こんなの非道い……」
「ごめんね〜、だって晶凄く可愛いんだもん……女の子の私でも、どうにかしちゃいたいくらいにね……だから、どうにかしちゃおうかと思って……」
「そうだよ晶……でも、非道いことじゃないよ。晶に気持ちいいこと教えて上げようと思ってさ……片桐は強引なSEXしかしないだろうから、私達がゆったりとした快感ってのを教えて上げる」
「私は、晶ちゃん肌が触ってみたいだけ……だって美保達みたいに色々しならないから……でも、本当に晶ちゃんの肌……白くて綺麗……凄くスベスベしてるし、どうしたらこんな綺麗な肌になるの……」
 そう言いながら明美は、頬を晶の顔にすり寄せてきた。快楽でフェロモンが強くなっていき、明美達の目がより一層、淫猥な色を放っていく。
 美保が、体操着を捲り小振りな胸を露わにさせる。そのままフロントホックのブラジャーを外すと形のいい綺麗な胸が顔を覗かせた。
「ふふふ、可愛い胸……晶には丁度良いね。でも、凄く形の良い胸してるよ……これなら、片桐も喜ぶでしょ……さぁ、感度はどうかな……」
 美保の唇が何の躊躇もなく乳首を吸った。それだけで、晶の躰は跳ね上がり一瞬にして体温が上昇する。今の晶の躰は、いつもの何倍も性感帯が敏感になっている。いきなり乳首を吸われて、気絶しそうなくらいの快楽が全身を貫いた。
「いやぁぁぁぁ……」
 瞳を大きく見開き、躰が痙攣を始める。これだけのことで絶頂を向かえてしまったのだ。
「はっ……はあぁ……」
「……晶……凄い敏感なんだね。素敵だよ……」
 突然の出来事に三人とも驚いたが、ブルマにしみ出る愛液を見て、安心して晶の躰を撫で回した。
 意識が飛びそうになる中、必死で手を握りしめ薬だけは落とさないようにしている。これを落としてしまったら、この先何処まで行ってしまうのか解らない。何とか薬を飲めるチャンスを見計らわなくては……
「ダメェ……お願い……許して……もう、ボク……」
 そんなチャンスは巡ってくるのだろうか、完全に躰から力が抜けてしまっている。薬を握るのでさえ辛くなってきた。
「そんな顔しないで……そんな顔されたら止められないよ」
 明美は、晶の唇を塞いだ。美保はなお胸を責め続けている。千秋はブルマの上から秘裂にそって指を這わせ始めた。
「晶のアソコ凄いよ。こんなにブルマ濡らしちゃって、こんなに出る子初めて見たよ……」
 元々バイセクシャル気味だった千秋は、男と肌を合わせているより女の子と肌を合わせている方が多かった。明美は知らないが、美保と千秋は何度か肌を合わせている。
「こんなの履いてたらいけないよ……脱いじゃおうね……」
 躰に力の入らない晶は、なすがままブルマを脱がされた。だが、パンティーはまだ履かせたままでいる。薄いブルーの下着が晶の白い肌に似合っていた。
「本当に綺麗だね……本当は前から女の子だったんじゃないの……男の子でいたのはこの可愛さを隠すためだったんでしょ」
 千秋の目が陶酔しきってる。そのまま股間に顔を近づけると充分に濡れているパンティーは、秘裂の形をハッキリと浮き出させていた。その形に添うようにパンティーの上から舌を這わす。
「ふぐぅぅぅ……うううぅぅぅ……」
 晶の喘ぎ声が、口移しで明美に中へ飲み込まれていく。秘裂からは吹き出すように愛液が湧き出し、パンティーをより一層濡らしていった。
「……凄く甘い……本当の蜜みたい……晶の凄く美味しいよ」
 人間の出す分泌液とは思えないほど晶の愛液は、甘美だった。これもバンパイアをおびき寄せるための運命なのだろうか……
 千秋はとうとうパンティーに手を掛け、一気に剥ぎ取った。晶の茂みのない股間が露わになる。そして、秘裂を開き小さな珠を嬲った。
「うくぅぅぅ……」
 そんな刺激に耐えられるわけがない。登り詰め続けている晶の躰がもう一段階高いところへ登った。それは、一舐めする毎に絶頂を向かえているような感じだった。
 もうどうにもならない……晶には掌を握る力さえ奪われ、とうとう薬を落としてしまった。
 小さな乾いた音が、明美の耳に届いた。明美は唇を外し小さな錠剤に目を向け、それをつまみ上げる。
「……何? 薬……晶ちゃん。これは何の薬なの……」
 晶の霞んだ瞳が、かろうじて差し出された薬を把握することが出来た。
「あっ……はん……もう止めて……滝沢…さん……飲ませ……ボク…に…ボクに……それを……」
 意識が飛びそうになる中必死に、明美に訴えた。これが最後のチャンスだろう。
「でも、なんなのこれ……どうしても飲みたいの? 飲まなくちゃいけないの?」
「はうっ……飲まなくちゃ……いけない…の……そうしないとボク……おかしくなっちゃう……早く……ボクを……助けて……」
 バンパイアの血を引く明美が一番狂っても良いはずなのに、一度晶の気を受けているので、一番正気に近かった。晶の『助けて』と言う言葉に、明美の理性が反応したようだった。
「……解った……飲ませて上げる。でも、口移しでね。」
 最後の所が、フェロモンにやられている証拠なのだろう。しかし、晶が薬を飲むチャンスが訪れたのだ。明美は、口の中に薬を入れると口移しで飲ませてくれた。
 晶の口の中に薬が投入される。しかし、快楽で麻痺した躰は、薬を拒絶しているようになかなか飲み込むことが出来ないでいる。それでも、必死に薬を飲み込んだ。
「うぐっ……はうっ……ダメェ……許して……もうボク……イクゥゥ……」
 何度目の絶頂だろうか、既にベンチシートは晶の愛液で汚れている。そして、薬を飲んで数十秒後、敏感だった躰が徐々に薄らいでいく。それでも、人一倍感じやすい晶は快感から逃れられたわけではない。
「はうっ……ダメッ……本当にダメッ……もうボク……あうっ……あああ……また……また…イッちゃうぅぅ……」
 躰が再び痙攣を始めた。
「本当に感じやすいんだね晶……もう、更衣室晶の香りで一杯になっちゃってるよ……今日はこれくらいで許して上げる。どうだった女の子同士も良いもんでしょ……」
 そう言うと美保は、晶の耳元で明美に聞こえないように呟いた。
「何時でも言ってくれれば、私と千秋が気持ちよくさせて上げる。今度はホテルのベットでね。一度こうなっちゃったんだから、二度も三度も同じでしょ……明美には内緒ね。……もっと、凄いことしてあげるから」
 そう言って、美保は躰を離した。千秋もベンチシートの上に横たわる晶の躰を未練がましく見ていたが、美保がたしなめたので渋々離れた。一番動揺していたのは明美だった。自分は、晶に何てことをしてしまったのだろう。
「……あれ……晶ちゃん……大丈夫……私どうにかしてた……晶ちゃんがあまりにも可愛いから……」
 晶の躰を抱き起こし、体育着をちゃんと着させて上げる。そして、制服を取り何とか着させようと必死だったが、力の抜けた晶の躰ではうまい具合に制服を着せることが出来なかった。
「二人とも、見てないで手伝ってよ」
 二人は『やっぱり』と言うような目で晶の着替えを手伝った。二人から見ても明美がこんな行動をするとは思っても見なかったのだろう。しかし、明美はともかく美保と千秋は、フェロモンが強化されたためだけではなく。始めから晶を狙っている様子だった。
 確かに、フェロモンに関係なく、晶を狙っている男子生徒も大勢いた。これだけの可愛さだ普通にしていても目立ってしまう。しかも、女生徒の方は、男の時の晶をさほど性の対象として見ていなかったが、女の子になってから狙っている女生徒が増えている様子だった。
 晶は、女になることに寄って、男女を問わず身の危険にさらされるようになってしまったのだった。それをただ一人……本人だけが気付いていなかった……

つづく(晶君の憂鬱〜その3〜)
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